【考察】なぜ高齢の方はこんなに預貯金に期待しているのは何でだろう?データを元に検証してみました。
スポンサーリンク
いつもありがとうございます。
モリゾーです。
お客さまと相談していると「最近の金利ってどうなっているの?金利上がった?」と質問をよく受けます。
金利を気にされている方というのは大体が50代以上の方々なんですが、この様な質問をいただくたびに「今の金利はほとんど無いようなものだし。そもそも上げられる状況にないんだけどな~。」と思うことが多々あります。
おそらく、若い世代の方であれば、そもそも金利が高い水準であったことを経験していないでしょう。
私の中で「高齢者は預金に今でも期待感があるのは何でだろう?」とふと疑問に思ったので私なりに調べてみました。
現在の預金金利について
まずは現在の預金金利について確認してみましょう。
※定期預金は期間や金額によって多少の変動はあります。
これは100万円を1年間預けると税引前10円~30円の利息が付与される計算となります。とても少ないですね(泣)。
余談ですが、データは少し古いのですが、ATM手数料の年間利用平均額は2,952円程度とのことです。こちらを考慮すると、利息よりもATM利用手数料の方が圧倒的に割高ですね。
預金金利の過去推移について
続いて、過去どのような動きをしていたか確認してみましょう。
過去の推移を見てみると、1990年代前半まではある程度の上下を繰り返しながらも、現在と比較すると高い水準を維持していることが見受けられます。
この図は普通預金の推移になりますが、定期預金の金利はより高い水準にあり、1990年頃は約6~7%もの水準にありました。よく高齢の方が「昔は郵便局に10年間預けておくだけで、金額が2倍になったからね」と仰っているのは間違いでは無かったということですね。
ただ、1990年代後半から、不動産やITバブルの崩壊、リーマンショックなどの経済ショックなどが重なったこともあり、預金金利は右肩下がり。現在はゼロ金利が常態化している状況です。
確かに昔の状況を知っている方(大体50代以降)からしたら預金で資産を増やすことは当然で、またその時代が来て欲しいと思うのは自然なことなのかも知れません。
定期預金金利と物価上昇率について
今度は少し別の視点で見てみます。
現在は預金金利はほとんど付きませんが、物価上昇率はじわりじわりと上昇している状況です。加えて、日本銀行は物価上昇率が安定的に2%を維持できるまで金融緩和を実施していくとアナウンスしています。これは言い換えると預金だけでは資産価値は実質的に減価してしまうということです。
金融機関の人間が言うと、営業のためのポジショントークになってしまいますが、データ上でもそれが示されていますので、インフレに負けないための投資は多くの人がやっていくべきでしょう。
では、過去はどうだったのでしょうか。
2000年代以降は基本的にインフレ率と金利水準が同一もしくはインフレ率が上回っている状況となっています。ですが、さらに過去に遡ってみてみると1980年~2000年直前位までは金利水準がインフレ率を上回る逆転現象が起きています。
つまり、預金として預けておくことで資産を増やせていたということです。
先ほどの金利の推移で見てもそうですが、物価と合わせて見ると当時の預金は有効な資産運用の一つだったんですね。
正直、物価変動率との比較は私の想像と異なっていたので勉強になりました。
日本の経済状況について
最後に経済状況、今回は株価に焦点を当てて見てみます。
経済状況の先行きを示す株価は1989年に38957.44円の最高値を記録しています。ですが、以降約30年間の間、最高値更新は叶っていません。
こういった事情もあり、日本は失われた30年なんて揶揄されることもあります。
これは当時を経験している方にとっては「株式で運用するよりも預金していた方が良いじゃないか!」と思うきっかけになってしまったのではないかなと私は思います。
ただ、最高値を更新していないといっても、当時から積立で時間分散を行っていれば、資産成長はしっかりとできますけどね。
もちろん、同じ期間で切り取った時に市場最高値を更新し続けている米国市場と比較してしまうと、圧倒的な物足りなさは感じてしまいます。
さいごに
本日は高齢の方がこんなに預貯金に期待しているのかを様々なデータをもとに考えてみました。
今まで見ていただいた内容から、ここ数年を除き、インフレ率以上の金利水準を維持していた預金は悪い選択肢ではなかったのではないかと思いました。
つまり、高齢の方はこれらを知っていたかどうかは分かりませんが、体感的に「定期預金も立派な運用方法だ!」と感じていたのでしょう。
もちろん、私は預金も生活防衛資金や近い将来使う資金のための重要な置き場所だと思っています。
ですが、現状は金融政策を通じて、金利の上昇抑制、適切な物価上昇を目指しています。現状、実現にはほど遠いものの、これを鑑みると、しばらくは預金だけでは資産の実質減につながってしまう可能性が高いです。
虎の子の大切な資産ですから、自分たちにとって適度なリスク許容度の範囲で投資をするのはとても重要ではないかなと再認識しました。
本日も本ブログをお読みいただきありがとうございます!